このソラをふと(み)観れば (ほこり)誇りし(さくら)桜は はらりはらはらとまるで玉(たま)落(お)ちの
花火(はなび)に宿(とま)りて (ふたた)再び還(かえ)らず また散(ち)りけり
帰(かえ)りし華(はな)の彩(いろ) 徒(ただ)に褪(あ)せて 我身(わがみ)は経(た)り逝(ゆ)く 念(おも)いは経(た)ち逝(ゆ)く
仄暗(ほのくら)き月(つき)の夜(よる)に 明(あか)り燈(とも)したる 蛍(ほたる)さえ今(いま)は 燐光(りんこう)を失(うしな)う
稲穂(いなほ)の頭(あたま)は 皆(みんな)刈獲(しゅうかく)られて 靜(しず)かに揺(ゆら)れ
霜(しも)葺(ふ)けば連(つら)なって 響(ひび)くコワ色(いろ)は はたと眼(め)を伏(ふ)せて 眠(ねむ)りに墮(お)ちる
戦(そよ)ぐ春風(はるかぜ)が 迎(むか)えし季節(きせつ)を 待(ま)ち望(のぞ)んで
帰(かえ)りし華(はな)の彩(いろ) 徒(ただ)に褪(あ)せて 我身(わがみ)は経(た)り逝(ゆ)く 想(おも)いは経(た)ち逝(ゆ)く
咲(さ)いては 亂(まだ)れて 朽(く)ちては 揪(つか)ぶ
帰(かえ)りし華(はな)の彩(いろ) 徒(ただ)に褪(あ)せて 我身(わがみ)は経(た)り逝(ゆ)く 念(おも)いは経(た)ち逝(ゆ)く